自分の子どもが引きこもってしまった場合、どう接したらいいか不安になったり、何とか立ち直らせたいと思うのは無理もないことです。
「父親」というもう一人の異性が存在しない中で、どう対処していけばいいのだろう、と悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
私もそうでした。
振り返ると反省すべき点が多かったのです。
そこで私の「こうしておけばよかった」という反省点を明らかにし、読者の皆さまが同じような失敗をしないよう、そして少しでも不安が解消できればと思い、実体験を踏まえて引きこもりの子どもへの接し方で重要なこと3つをお伝えします。
子どもの話を「聞く」のではなく「聴く」
音楽を聞くように自然と耳に入ってくる聞き方ではなく、聴くということが大切です。
聴くという漢字を分解すると、
耳 +(プラス) 目👁 心
しっかり目を見て子どもの心に寄り添いながら話を聴くということです。
今一度、ご自身でチェックしてみてください。
以前、私は全てできていませんでした。
娘が初めて引きこもったのが今から14年前。
当時私はどう対応すればよいかわからず、とにかく「なぜ、どうして、なにがあったの」と問い詰めていました。
当然のことですが、問い詰めると追い込むこととなるので余計に口を閉ざしてしまいます。
それがわからず「学校に行かせねばなければならない」「仕事に行かねばならないので、問題は早く解決させたい」と自分の都合に合わせて対応をしていました。
これが失敗のもとだと後になって気づきました。
少しテクニック的にはなりますが、上記のコツを掴んで対応することで娘は心を開いてくれました。
この方法はきっと伝わるはずです。
きちんと聴いているという姿勢を見せることです。
気が済むまで話し終わったら、自分の意見を興奮せずゆっくり話していきましょう。
次に話を聴いた後、大切なことは「子どもを責めない」ということです。
✓気持ちを改めさせようと無理強いしない
✓ぐちぐち言わない
責める=認めていることにはならないからです。
娘は今、3回目の引きこもりです。
話を聴いていると、
【娘の気持ち】
①他人(同年代)と比較してしまい、できない自分を責めてしまう
②上手くいかなかったらすべてにおいて自信をなくしてしまう
③行動を起こす意欲が出てこない
④何をしたらいいかわからなくなってきた
⑤できないことで親に迷惑をかけたくない
⑥生きている意味がない
⑦消えてしまいたい
昔と変わっていません。理由はほぼ一緒です。
ありのままの子どもの状態を受け入れてあげるのが一番です。
どうしてこんな風になってしまったんだろう、と疑問を抱くかもしれませんが、現実は受け止めなくてはなりません。
「みんなと一緒でなくていい、それは個性なんだよ」
そう言うと「でもね…」と反発してきます。
堂々巡りなんですよね。
だから子どもにそのことは言わず、親の心の中で感じているだけでいいのです。
「そうか、自信をなくしてるんだね、他の人と比べてしまって辛く感じているんだね」
と今の子どもの心境を受け止めましょう。
心のどこかで働きたい、分かってほしいという気持ちも持っていますから。
最後に、「話してくれてありがとうね」ということ、これとても大切です。
「ありがとう」という言葉に子どもは安心します。
迷惑をかけたくないという理由から、言えなかったことも、その言葉を聞くと「言ってよかったんだ」という安堵感に替わるんです。
しかし、子どもは話をしたくない時もあります。
その時は、無理に「話して」と追い込まないことです。
「言いたくなったら言ってね、ちゃんと聴くからね」
こういうだけで十分です。
第三者に相談する
子どもの話を聴いても全く子どもが行動を起こすことがなく、焦ることもしばしば。
ですが、ここで「働くこと、学校に行くこと」を強く勧めることは絶対にしないでください。逆効果となります。
まずは今の子どもの状況を知ることです。
子どもの気持ち知ったうえで親としてどう行動するかが分かればよいのですが、その行動が果たしてマッチングした内容なのかがわからなくなり、余計に焦りが出てしまう場合は、迷わず、第三者に相談することです。
ネットで調べるというのも一つの策ですが、いろんな情報が飛び交っており、何を参考にすればよいか分からず頭の中が混乱してきます。
一度、冷静にご自身の口でこういう状態だというのを第三者に話すと気持ちが落ち着きます。
いきなり話すのは気が引けるというのであれば、こういうことで悩んでいると相談窓口に書き込んでもいいと思います。
まとめることで整理がつきます。
いずれにしろ、支援機関やカウンセラーなど第三者に一度相談することです。
経験、知識がある専門家に複数相談することをおすすめします。
複数というのは合う、合わないという相性の問題があるからです。
支援機関として、厚生労働省がひきこもり支援推進事業を実施しており、「ひきこもり地域支援センター」というところがあります。
ひきこもりに特化した専門的な相談窓口としての機能を有する「ひきこもり地域支援センター」を都道府県、指定都市に設置し運営する事業です。このセンターでは、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士等の資格を有するひきこもり支援コーディネーターが、ひきこもりの状態にある方やその家族へ相談支援を行い、適切な支援に結びつけます。また、地域における関係機関とのネットワークの構築や、ひきこもり支援に係る情報の幅広い提供等、地域におけるひきこもり支援の拠点としての役割を担います。
厚生労働省:引きこもり支援推進事業
もちろん相談料は無料です。
自治体ではなく有料ですが、心理カウンセラーや行動心理学のプロなどもいます。
悩みを打ち明けるのは決して恥ずかしいことではありません。
絶対に一人で悩まないことです。
親(自分)のせいだと決めつけない
引きこもりの原因は必ずしも親とは限りません。
原因はこれだという明確なものもないし、複雑に入り混じっています。
実体験として、私は心理カウンセラーに相談したら、「お母さんはその時なんと言いましたか?どう行動しましたか?」と私のことばかり質問されました。
一切お母さんに問題があるとは言わず、自分を見つめなおすような問いかけをしてきたのです。
自分の言動の振り返りをさせられました。
そうするとベクトルが今まで子どもに向いていたのが、自分に向くことになって今度は自分を責め始めるようになったのです。
「私が悪いのだ、離婚したせいだ、父親がいないからだ、養うために一生懸命働いてきたので自分のことで精一杯だった」と。
しかし、厚生労働省「e-ヘルスネット」では、
・精神疾患や発達障害などによって周囲と馴染めない
・対人関係の問題が引き金となり社会参加が難しい
といった背景が、引きこもりになってしまう原因として考えられることが記載されています。
つまり、病気や対人関係といった複数の要素によって子どもが引きこもりになってしまうわけです。
引きこもりになる原因は、親のせいだけということは決してありません。
しかし、あまりにも長引いてしてしまうと親の影響もあるかもしれません。
ですので、今一度ご自身の言動の振り返りをしてみてください。
親の言動で解決する可能性もあります。
まとめ
子どもはどのような気持ちで何を伝えたいのかをしっかり向き合うには、「聴く」ということです。
聴いている態度、発する言葉に注意を向けてみましょう。
そしてお母さん自身が毎日楽しく生き生きと生活しているか、子どもの前で不安な顔をしていないかを振り返ってみてください。
お母さん自身が倒れないように…。悩みを打ち明け、相談しましょう。